定年後のライフプラン

「質問」

現在会社に入って40年ほどがたち、会社の定年時期を迎えます。このまま、嘱託で会社にいようか、それとも別な会社に移るか、それとも趣味の植木屋さんを生かしてシルバー人材に登録しようか悩んでいます。
今の会社にいることが一番楽ではないかと考えていますが、会社の後輩に気を使わせることを考えたら・・

又、別な会社で再出発も良いのですが、この年で新しい職場になれるかも心配です。
もし会社を辞めるとなると保険のことや年金のことが心配です。
退職金の予定額は、1500万円ぐらい、年金型と一括払いが選択出来ます。

ちなみに私は、昭和25年生まれで夫婦ふたり暮らしで、持ち家(ローンが500万円残っています)におります。  年金も少しもらえます。

「回答」

『定年後のライフプラン』のご相談ですが若干不明瞭な所もありますので相談趣旨と相違するようでしたら再度ご相談いただけますようお願いします。

第一次ベビームームが60歳に到達し、いわゆる団塊の世代が定年を迎えようというミドルレンジが多くなってまいります。
今回の説明では、定年退職前にやっておかなくてはならない検討と現在頂いている情報からの将来のライフプランについてご説明してまいります。
以下説明は紙面上の問題もあり、簡略に説明して参りますので、詳細をご希望の場合は別途ご相談ください。

健康保険の手続き

在職中は、健康保険料が給与天引きで引去りされておりましたのであまり意識をしていない方が多かったのではないでしょうか。
更に、保険料はほぼ半分が個人負担で、残りは会社が負担をしております。

保険は、国民皆保険制度により退職後は以下のいづれかの保険に加入する必要があります(60歳代で離職の場合)

  1. 任意継続被保険者に加入
    (既存の健保に継続して2ヶ月以上加入しているとき、本人の申し出により在職中の健保組合の被保険者になることが可能です。
    任意継続の方の保険料は、会社負担を含めて全額自己負担(在職時に負担していた額の2倍相当になります)
  2. 国民健康保険に加入
    (加入条件は、他の保険制度に属さない人すべてで、運営は各自治体が行なっており、手続きは住所登録のある市区町村役場の窓口で行います。
    (自治体の財政状況により保険料が多少異なる事があります)

年金手続き

在職中の給与明細を見て頂きますと、「社会保険料等の金額」の欄の中に厚生年金保険(国民年金を含む)があります。
所定の時期になりましたら日本年金機構に厚生年金保険請求をする必要があります。最近は機構から誕生月の前に申請書類が届きますので、記載事項を参照し返信のはがきを発送して手続きは完了します。

日本の年金制度は、公的年金制度と私的年金制度があり、合わせて3階建になっています。
土台となる1階部分は全国民共通となっていますが、2階部分、3階部分は企業の福利厚生の取り組みで変わってきます。

雇用保険

労働者がなんらかの理由で失業に陥った時に、再就職までの生活を安定させ、就職活動を円滑に行えるよう支援する制度で、再就職が前提になりますので再就職の意志がない場合は保険給付を受けることはできません。
再雇用先、退職時の年齢、厚生年金の加入状況、在職状況等を考え、一番良い選択をすることをおすすめします。
(詳細はお住まい近くのハローワークにお尋ねください)

その他に考えなくてはならないのが、未払いとなっている税金です。
住民税は、前年の所得金額に応じて課税される「所得割」と所得金額にかかわらず定額で課税される「均等割」というものを合算して納めます。

代表的な手続きを長々と説明させていただきましたが、ご質問の趣旨と違っていたかもしれませんね。

定年後のライフプランで一番大事な事は、今までは会社から定期的に給与が振り込まれていましたが、離職してしまうと定期的な入金はありません。
しかし、生活してゆくためには必要な出費はついて回ります。

***退職前にちょっと考えてみてください***

退職時にいくらぐらいの蓄えがあるかを理解する必要があります。そして終身でいくらぐらいのお金がかかるかです。
金融機関に預けている残高の把握、
退職金の手取り額、
今後のライフイベント表を作成して将来の大型出費額の算定、
負債の返済 等
を考慮し、キャッシュフロー表を作成すると実態が見えてくるかもしてません。

頂いている情報から計算すると退職金にかかる税金は、
800万円+@70万円*(40年-20年)=2,200万円>1,500万円となりますので、あなたの場合は、退職金に対して税金は かからなそうです。
しかし、退職時にローンが残ってしまいそうですのでこの一括返済をおすすめします。収入が減ってゆく中で、ローン返済は厳しいですから。

又、高齢になると医療費がかさみます。
生命保険会社や公的機関の貯蓄型保険は不要ですが、医療保険は検討する必要があるかもしれません。

最後に、ご夫婦二人の生活費の額を計算してみましょう。
女性の平均年齢は83歳ぐらいです。男性の平均年齢は75歳ぐらいでしょうか。その間の生涯費用は約5,000万円になります。
年金等の収入がありますので、この差額が退職時の手持ち額でまかなえるか考えてみてください。

この記事を書いた人

富士 山太郎
富士 山太郎〇〇FP事務所 代表
個別相談・セミナーのお手伝いを中心に独立系FPとして活動しています。
世代別に抱える数々の現実から将来の見えない不安の解消や夢の実現を一緒にお手伝いさせていただきます。
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