NISA(少額投資非課税制度)がスタートして1ヶ月

ファイナンシャルプランナーの資格を取得してから、不安を持った様々な方々の相談を受ける立場になることが多くなると考え、数年前に投資信託を少しだけ購入しました。
毎月分配型のため、少額ですが、分配金が毎月銀行口座に振り込まれてきます。
先般信託銀行から「投資信託の分配金のお知らせの案内」が届きましたが、何故か口座に振り込まれている金額が先月より少ない感じ。
投資信託の分配金には、普通分配金と特別分配金があり、特別分配金は元本払戻金となりますが、普通分配金はあらかじめ税金が差し引かれて振り込まれます。
時に、普通分配金と特別分配金の割合で差異が生じる事がありますが、今回は少し違いそうな感じです。
原因は1月1日からNISA(少額投資非課税制度)のスタートにあわせ、税制優遇制度の廃止で課税率が10%から20%に戻った事だと判明しました。

1月1日からスタートしたNISAは投資家にとって利用しやすい制度なのか?

改めて、NISAとはなにか?NISAのメリット、デメリットを纏めてみます。

NISAは、英国のISAをモデルに日本でも個人投資口座が利用可能なように日本版ISAとしてNISAという愛称が決まり、株式や投資信託などで得た収益に税金がかからない新しい優遇制度として昨年10月から各金融機関で募集が始まったものです。

<制度の概要>

非課税対象非課税内口座内の少額上場株式等の配当等、譲渡益
口座開設者口座開設時の年の1月1日に日本国内に居住する満20歳以上の方
口座開設可能期間平成26年1月1日~10年間の時限措
非課税管理勘定設定数各年分ごとに1非課税管理勘定のみ設定可(一つだけの口座開設のみ)
非課税投資額1非課税管理勘定における投資額は100万円を上限。
(毎年最大100万円*10年間の非課税投資が可能)
保有期間最長5年間
非課税投資期間最大500万円

(税務署ホームページより)

以上が、10%軽減税率廃止に伴い、新しく創設されたNISAの制度概要です。
では、そのNISAにデメリット・問題点はないのか少し調べて見ましょう。

  1. 非課税管理勘定設定数で述べているように、口座はひとつしか認められていませんので、複数金融期間・複数口座は利用できません。口座を複数持っている人に取っては使い勝手が悪く、自在のない制度と映るでしょう。
  2. 従来の口座で売買した株式や投資信託とNISA口座間では通算ができません。従って、売買した口座で損金がでた時はその口座のみで損益通算をすることになります。
  3. 更に、3年間の損失繰越ができないことも考える必要があります。売買した口座で何時も利益が出るとは限りませんから。
  4. 1年間の取引額は100万円以内の限度内となっていますので、年間50万円しか購入しなくても、翌年に繰り越すことはできません。

以上いくつかのデメリットを延べてまいりましたが、まだまだ改善の余地を残した制度と考えます。

NISAは英国のISAを模した制度でISAが持っている利点の無期限の非課税制度です。ただ、別な株式や投資信託への乗り換えが可能と言うような制度はNISAにはなく、今後については参入の壁を低くして、自在性のあるわかりやすい制度にして投資家が利用しやすい方向に持って行くことを期待したいと思います。

なにせ、日本人の金融資産は1世帯あたり1200万円と言われていますが、そのほとんどは元本保証の貯蓄型です。経済を活性化させるためにも、その金融資産が貯蓄から投資に廻るよう期待したいと思います。

この記事を書いた人

富士 山太郎
富士 山太郎〇〇FP事務所 代表
個別相談・セミナーのお手伝いを中心に独立系FPとして活動しています。
世代別に抱える数々の現実から将来の見えない不安の解消や夢の実現を一緒にお手伝いさせていただきます。
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